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インプラント手術時の実際

術中の確実な鎮静術中のストレスは痛みだけではありません。

局所麻酔が注入される圧力、粘膜を剥離するときの力、切削器具の振動や音、長時間口を開け続けたり、同じ姿勢を続けること、何気ない先生やスタッフの一言......。

静脈内鎮静法を用いることにより傾眠、時には入眠してしまうくらいに精神的緊張が緩和され適切な鎮静状態になれば、そういったストレスから開放されます。つらくなくなるのです。

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健忘効果がイヤな記憶を消し去ります
「鎮静においては、健忘効果が重要であり end point である」、「術中に感じた不快感を術後に記憶していないことこそが、患者さんにとって有益である」といわれています。最近の研究では75%の患者さんが術中の記憶がなく、静脈内鎮静法の健忘作用によって不快な記憶が排除できています。
(日本歯科麻酔学会誌、33(5)714~719,2005、39(5)649,2011)

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確実なペインコントロールの重要性
患者さんの満足を得るために、周術期(術前、術中、術後)に、いかに確実にペインコントロールを行えるかは、とても重要な要素です。

「痛み」や「不快感」を感じ、それをガマンすると、鎮静から覚醒してしまったり、局所麻酔が効きにくくなったり、迷走神経反射(疼痛性ショックや神経性ショック)、過換気症状などの全身的な偶発症を引き起こしてしまいかねません。安全・安心・快適からは程違い状態になってしまいます。

従って、確実な局所麻酔を施行することで、安定した鎮静状態を持続させることができます。鎮静と確実な鎮痛がすばらしい相乗効果を生むのです。

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術後疼痛管理の重要性
術後のペインコントロールに関する最新の考え方は、疼痛が発生する前に痛み刺激の伝達神経を遮断あるいは、各種鎮痛薬を投与し、痛み刺激が中枢神経系に到達しないようにして、痛み起因物質の発生を抑え、術後痛を軽減させようという、pre-emptive analgesia(先取り鎮痛、先制鎮痛)という概念に基づいています。術後痛の軽減は、創傷の治癒にも効果的に作用するともいわれています。

確実な局所麻酔によって侵害刺激の入力を遮断する、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)を用いて、局所での二次痛や末梢性感作を抑制する、麻薬性鎮痛薬を用いて、中枢性感作を抑制するといった方法が有効です。

患者さんは次の患者さんを紹介してくださる大切な広告塔です。ぜひ静脈内鎮静法を上手に併用して、サプライズと感動を与えてあげてください。

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歯科麻酔科医とのチームアプローチの重要性
手術や治療が成功するということは、最終的には患者さんが満足するということにほかなりません。そのためには、機能や審美性の十分な維持、回復はもとより、治療や手術といったそのプロセスにおいても十分なホスピタリティが必要になってきます。

歯科麻酔科医が術前から関わり、術中も最善やり方で静脈内鎮静法を施行し精神的緊張を取り去ることで、肉体的ストレスも緩和させ、バイタルサインの安定化を図ることでリスク管理を徹底し安全を確保することが可能です。適切な鎮静は傾眠と健忘効果を発揮し、術中の局所麻酔や手術や処置のストレスから、患者さんを解放してあげることが可能となります。

患者さんは、治療や手術を成功させたい、そして安全・安心・快適に進めてほしいという大きな2つの願いがあります。

先生が治療や手術に集中していただくために、患者さんの全身状態を、安全・安心・快適な状態に保つことが歯科麻酔科医の仕事ですが、見方を変えれば、患者さんの代理人として自分ではできない全身管理を、患者さんに成り代って行うとも言えます。

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モニターを通じて患者さんを知る
鎮静中、持続的にバイタルサインをモニタリングすることで、患者さんが感じる「痛み」や「不快感」や、「鎮静の深度」をリアルタイムで把握することができます。

バイタルサインを持続的に監視し、その変化をいち早く読み取り、迅速に適切な対応をすることで、安全・安心・快適な状態を維持することができるのです。

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悪循環に陥らないことが重要

悪循環に陥らないことが重要

このような悪循環に陥らないために、バイタルサインをモニターで逐次監視し、鎮静の深度を調節したり、適切な薬剤を使用したり、場合によっては局所麻酔の適切な追加を行うことも大切になってきます。

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本数?侵襲の大きさ?時間?
患者さんにとってつらいのは、「痛み」だけではありません。切削器具の振動や音、骨ノミやオステオトーム使用時の頭にまで響く衝撃、長時間にわたって口を開け続けていることや、同じ姿勢を強いられること、といった「不快感」は想像以上に大きいといえます。

したがって、切削器具を長い時間使用して多くの本数を埋入場合は鎮静することで、かなり患者さんの負担は軽くなります。現在耳鼻科領域では、サイナスの手術はほとんど全身麻酔下で実施されています。そういった現状を参考にすると、サイナスリフトにおいては少なくとも静脈内鎮静法を併用すべきと考えられます。

自家骨を採取したり大きな切開を伴う場合、術野が両側もしくは上下顎に及ぶ場合の侵襲も、かなり大きなものといます。したがって静脈内鎮静法の併用が必須ではないでしょうか?

時間が長くなると、長時間の開口や同一姿勢の保持は、患者さんにとって大きなストレスとなります。手術時間が90分を超えるとほとんどの患者さんが体動を示しますし、バイタルサインの変動も大きくなってきます。先生ご自身に当てはめてみればすぐわかることですが、目が覚めたまま同じ姿勢を90分保てるでしょうか?まず難しいと思います。ですから静脈内鎮静法を併用する意味は大きいのです。

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工夫次第で、2時間以上の長時間手術も可能です
全身麻酔と違い、導尿できないこと、局所麻酔の奏功時間が決まっているので、治療時間は原則として2時間程度までお願いしています。しかしながら、手術計画を工夫し、途中で一旦覚醒させてトイレに行ってもらったり、ブロックことに2時間以内の手術を組み合わせることで長時間の手術にも対応しています。

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1本だけだから局所麻酔のみでいい?
患者さん側からすれば、たとえ1本だけのインプラント埋入手術でも、とても大変に思える場合もあります。手術を受けるか受けないか......最初のハードルを下げてあげることはとても重要といえます。

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鎮静下での治療は、先生のストレスも軽減します
●手術に集中したい
●スタッフや若い先生のトレーニングを兼ねたい
●新しいシステムや術式、器具、材料などを使用したい
●インプラント治療の経験が浅く、落ち着いて手術に臨みたい

静脈内鎮静法は、患者さんのためだけにあるのではありません。サイナスリフトや骨移植、多数の埋入を手がける、インプラント専門医のためだけにあるのでもないのです。患者さんは適切な鎮静状態になり、全身管理を歯科麻酔科医にまかせていることで先生も負担が軽減されて、心に余裕が生まれてきます。その結果先生は手術に集中でき、より質の高いインプラント治療を提供できるのです。

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患者さんの90%以上が大変満足し、次回も静脈内鎮静法を希望
日本歯科麻酔学会での報告でも、90%以上の患者さんがとても満足していて、次回も静脈内鎮静法を希望しているという結果です。
(日本歯科麻酔学会誌、33(5)714~719,2005、39(5)648~649,2011)

一方で8割の患者さんが事前に静脈内鎮静法の知識がありませんでした。静脈内鎮静法を知らないで、せっかくのよい治療をためらっていらっしゃる方も大勢いらっしゃるということです。

ぜひ先生方に静脈内鎮静法の正しい知識とそのメリットの理解をより深めていただきたいと思っております。困っていらっしゃる患者さんへ、その有効性をお伝えいただき、今後の診療に役立てていただきたいと思っています。

患者さんには、よりストレスのない快適な治療環境を!これから経験を積まれる先生方には、余裕を持って手術に望めますように!経験豊富な先生方には、適応拡大とより質の高い診療を提供できますように!


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